私共、福島中央青果卸売株式会社が立地する福島市は、国道4号と万世大路(国道13号)、鉄道では東北本線と奥羽線とが交わる交通の分岐点として、かつ南東北を南北に流れる阿武隈川の舟運の要所として栄えました。特に、江戸時代から昭和初期にかけては養蚕業が発達し、絹織物産地として全国に名を馳せました。時代の変遷による養蚕業の縮小に伴い桑畑は果実や野菜の畑に姿を変え、経済成長期には、青果物の一大供給基地として重要な地位を築き上げ、北海道・京浜・関西・九州地方等全国に向けて、胡瓜や桃・梨・りんご等を中心に販路を拡大して参りました。また、盆地の四方には阿武隈山地・吾妻連峰・蔵王山地の山々があり、きのこや山菜等自然の恵みも豊かな土地柄であります。
当社は、昭和40年2月に青果問屋及び産地仲買人十数社が大同合併して設立され、同年4月から『福島県知事卸売人登録第1号』をもって地方卸売市場として営業を開始しました。その後、福島市中央卸売市場が昭和47年11月1日開設されると同時に、青果部の卸売業者として一層公共性を高め、福島県北地域を中心とする市民の皆様に、青果物の安定供給を社の使命として誠心誠意努力して参りました。
福島県は、2011年3月11日の東日本大震災、そして東京電力福島第一原発事故により過去に例のない被害を受けました。
福島県産青果物は、原発事故により市町村単位に多くの種類に出荷・摂取制限の規制がかかり、また検査で安全性が証明されたものも風評被害のため価格・数量とも震災以前の状況には回復しておりません。そのような状況下、産地では除染作業を進め、福島市や農協・市場では出荷前の農産物を検査し、消費者の皆様に新鮮で安全・安心な青果物だけを提供できるよう努力しております。私共も様々な機会を利用して正確な情報を全国に発信し、産地復興の一助になるべく取り組んでおります。
青果物の流通は時代を映す鏡であり、高齢化や女性の社会進出或いは健康志向を反映し、消費者の求めるものは多種多様となっております。ところが産地では、生産者の高齢化や離農が進み新規参入も思うようには進んでおりません。農業は福島県の重要な基幹産業であり、農業の振興は福島県復興の重要な命題の一つであります。当社も青果物流通の一翼を担って復興に取り組んで参ります。
最後に、震災の時に全国の皆様から多大なお見舞いや、温かい励ましのお言葉をいただきましたことに心から感謝申し上げましてご挨拶といたします。